「健康日本21(第三次)」では、「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」が基本的な方向のひとつとして掲げられました。高齢期については、「低栄養傾向の高齢者の減少」、「ロコモティブシンドロームの減少」等が目標として設定されており、なかでも、低栄養状態はフレイル・サルコペニアをはじめとする様々な疾患の引き金となり、要介護状態の原因にもなることから、高齢者の食事指導等、栄養の課題に向けた取組は急務となっています。
本シンポジウムでは、「健康寿命延伸に向けたアプローチ~高齢期をいきいきと過ごすための食事と運動~」をテーマに、健康寿命の延伸に向けた具体的な対策として、フレイルやサルコペニア予防とその背後にある「低栄養」の問題、日本型食生活の意義や活用法等を含めた栄養改善、さらに、食事とともに健康寿命延伸の両輪となる運動について、疾患、栄養、運動の専門家からアドバイスいただきながら、健やかな生活習慣を身につけ健康寿命を延ばすためには、どのような指導・普及支援等を行えばよいのか、医学的・栄養学的に考えます。
保健師、栄養・食事指導担当者等
※本セミナーは日本栄養士会生涯教育単位 実務研修 全分野共通(90-110) 講義1単位 の対象です。
- 主催者挨拶
- 公益社団法人 日本医師会 会長 松本吉郎
- 座 長
- 寺本 民生 先生
帝京大学臨床研究センター センター長 /
寺本内科・歯科クリニック 内科院長
東北大学 名誉教授 /
東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野 客員教授
なぜ日本食が健康によいのか、日本食が心身に与える影響とは何か。私がこれまで行ってきた大崎コホート研究をはじめとする様々な大規模疫学研究から、健康長寿には食事や栄養が大きく関連することが明らかになっています。ごはんを中心とした日本食パターンは、循環器疾患の死亡リスクや要介護・認知症の発生リスクを低下させ、健康寿命延伸に寄与することについて解説したいと思います。
東京都健康長寿医療センター
糖尿病・代謝・内分泌内科 フレイル予防センター長
高齢者では生活習慣病だけでなく、フレイル・サルコペニア、認知機能障害などが生じ、低栄養はそれらのリスクを増大させます。75歳以上の高齢者の栄養療法では、中年期からの糖尿病、肥満に対するメタボ対策から低栄養、フレイル対策へシフトする必要があり、管理栄養士を含む多職種で高齢者総合機能評価を行い、メタボ対策、フレイル対策のいずれの食事療法を優先して行うか判断することが重要です。両者に共通する対策として運動療法、食事療法の意義、日本食の有用性についても紹介します。
筑波大学人間系 教授
フレイルやサルコペニアに抵抗し健康長寿を実現するには、継続的な運動と適切な食事、そして社会との関わりを保つことが重要です。本講演では、フレイル・サルコペニア対策に向け、運動の捉え方や運動継続のコツを紹介するほか、運動効果をアップさせるための栄養の重要性、社会と関わることの意義についても言及したいと思います。
~高齢者は何をどう食べればよいのか?
札幌保健医療大学大学院 教授 /
大妻女子大学 特任教授
高齢者食の低栄養は、食べられない、食べないに始まり、「食べること」、「しゃべること」を閉ざします。病気を招くだけでなく、予後の悪化にもつながります。栄養指導では、おいしく食べることよりもたんぱく質摂取が注目され、主食の炭水化物を減らし、エネルギー不足になっている方もいます。本講演では、高齢者が健康で「おいしく食べて」、長生きするための食事のとり方、さらに、炭水化物をとることの重要性等について解説します。
帝京大学臨床研究センター センター長 /
寺本内科・歯科クリニック 内科院長
- 主催者挨拶
- 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構 理事長 福田晋
※各講演30分とディスカッションの予定です。
※講演タイトル、要旨は予告なく変更されることがございます。
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